ソバン ヘジュ板膳
ソバン(小盤)は…
李朝時代から使われた一人用の小さな脚付きのお膳です。
厨房で作った料理をすぐに載せ、運び、そのままテーブルとして使われた暮らしに寄りそう道具です。日本においても柳宗悦や浅川巧、白洲夫妻…目利きたちも愛し、日本でもその素朴で優美な趣に魅了され高い関心を持たれる方が本当に増えています。
その伝統を受け継ぎ、復刻制作された板膳です。経年劣化で天板のみが残った状態ですが、更に静かな存在感が感じられます。
制作された地域によって特徴が異なるソバン。
十二角形や長方形、円や花びらの天板の形状や、脚は狗や虎、透かしのレリーフが入ったり…。
こちらは黄海道海州地域(現在の平壌の南側)で使われたヘジュバン( 海州盤 해주반 )の天板です。へジュバンは長方形の天板を持ち、脚の側板に緻密な透かし彫りが施されることが多いのが特徴です。
四隅に菱花の面取り加工がされ愛らしい趣をもつ造形です。縁がわずかに立ち上がり光沢がなく、塗装がおち赤茶の色が空間にすっと馴染むようです。片手で持つことがやっとの重さ。平行に木目がうっすら現れ、垂直に短い凹み傷が見受けられます。なじみと呼ばれる縁は黒ずみ、長年使われた印象があります。
四隅に脚が抜けた様子が残り、側には何度も塗装を重ねた跡も見受けられますが、全体的に大きな傷は少なく割れやがたつきはないです。
1人用の食事やテーブルの側においてトレーとして…敷板として香炉や花器などをディスプレイするのも素敵です。また中国茶を嗜む方が増えられソバンの天板をお使いいただくことも多くなりました。
大木を切り、板にし、削りカタチを作りそして漆を塗る…
何度も繰り返された補修の跡は大切に使い続けていた証です。使い込まれた証の傷までもが愛おしく感じられます。
使われてこそ美しい…
日本の暮らしに加えていただけましたら
□ 製造年代不詳
□ 素材:木
□ サイズ:43.cm*34.5cm*H2.5cm、1.1kg
無垢家具は生きています。
強い光に長時間さらされると、変色や塗装の原因になりますので、なるべく常時直射日光があたりにくい場所に設置してください。また極端な乾燥や湿気の多すぎる場所でのご使用も無垢木に変化を与えてしまいます。
日頃のお手入れは乾拭きか硬く絞った布で、艶を出したい時は家具専用オイルや蜜蝋ワックスを布に含ませ拭くと美しい状態を保てます。