韓国の五方色
私たちの暮らしの中にあるすべてのモノには色が存在しています。
知らない間にたくさんの色が視覚に入り、普段気にしていないつもりでも色は思っている以上に私たちの心理や感情を左右しています。
緑あふれる山々や青く澄みわたった空を見ると、清々しさを
真っ赤に色づいたイチゴを見ると、思わず口に運びたくなり
部屋の照明をあたたかな色に変えると、気持ちが落ち着きリラックス
鮮やかな色の洋服を身に着けると、元気で快活な気持ちになります。
色が人に与える影響力…
心理や感情だけでなく価値観にも影響を与えます
地域や国の違いで文化は異なり、文化によって民族の基本的な価値観が培われます。
興味深いデータを見ました。
日本の大学教授が世界20か国、60の大学で色に関するイメージ調査を行いました。47種類の色とワード。例えば「献身」を連想させる色を調べたところ…
中国は赤、「国家に捧げる」という意識。
日本は母を思い起こすピンク系、優しさから来ています。
欧米は青でした。これはキリスト教のシンボルカラーの意味があるということです。
欧米諸国の柔道着が青ということも合点がいくと見解されていました。
韓国を代表する色をもっと知りたいと思いました。
古くから最も多く使われ、人々の暮らしに今なお根付く五方色…青・赤・黄・白・黒。
日本の伝統色同様、韓国の伝統色も陰陽五行思想が大きく関係しています。
五行説は紀元前に中国で生まれた自然哲学です。
森羅万象すべての要素が「木・火・土・金・水」の五つの要素になると解釈され、その五つの元素は互いに影響を与え合い、相互作用によって天地万物が変化し循環していくという考えです。
「行」は動き作用していくということ。
相生…
木と木をこすり火を生み、燃えた跡には灰(土)が生まれる。
土の中には金属が埋まり、金属が冷めると水滴がつく。
その水は木を育てる。
相剋…
木は土から栄養を吸い取り、土は水を吸収しせき止め汚す。
水は火を消し止め、火は金属を溶かす。
そして金属の刃物は木を傷つける。
さらに万物は陰と陽の対極する二極に分かれるという論が加わりました。
月と太陽、北と南、水と火、夜と昼、男と女。
決して陽がプラスで陰がマイナスイメージと捉えないでください。
陰陽説の陰はとどまりながら静かなエネルギーを発するもの。
そして陽は活発に動き回りながらエネルギーを発散するモノです。
確かに夜ばかりでは植物は育たず、男ばかりでは種が途絶えてしまいます。
陽ばかりでも陰ばかりでも成り立たない。
私たちが生きる世界は、常に陰と陽とで構成されているという考えです。
五行にはそれぞれ方位・時間・季節・星・臓器・感情・道徳観があてはめられ生きる指針とされました。
色もそうです。
木は青、火は赤、土は黄、金は白、そして水は黒。
五つの色、五方色。
「ハヤン=白」「コムジョン=黒」「パルガン=赤」「パラン=青」「ノラン=黄」
それぞれの色が象徴するものや、その色にまつわるエピソードを盛り込みご紹介していきたいと思います。