木蓮商店だより〜
2020年春
韓国陶磁器店「木蓮商店」がセレクトされた器をご紹介することになりました。
スタートにあたり店主・キムギュリさんからおたよりが届きました。これからも時々くださいます。
木蓮商店のこと、うつわのこと、日々の生活のこと…
ソウルに暮らす30代の女性・ギュリさんのことをギュリさんの言葉を通して、より近くに感じていただけると思います。
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はじめまして。
母と娘が共に営む情感のある韓国陶磁器店、木蓮商店店主・キムギュリです。
この度、木蓮商店がセレクトした韓国陶磁器を日本の皆さんにご紹介することになりました。とてもうれしく幸せを感じています。
まずは私たちのお店の始まりからお話しさせてください…
木蓮商店を始めるようになったのはとても偶然なきっかけでした。
私の体の調子が悪くて会社を辞めて家で休んでいた時期があり、お気に入りのカップに温かいお茶を入れて飲むのが、その頃唯一の楽しみでした。新しい韓国作家の陶磁器のコップを買いたいと思っても気に入ったオンラインショップが見つからなかったのです。
「それなら私たちが一度やってみませんか?」
隣に座る母に言ったこの一言が始まりでした。
その日の翌日、私たちはあてもなく工房が集まっている町を探し訪ねました。
まだ名前もなく、いつ始まるか決まっていない私たちに作家たちは喜んで器を提供してくれました。
その日私たちは作家たちから小さな勇気をもらいました。
こんなふうに出会って、現在までおつきあいしている工房の中に今回+hanでご紹介するカマメ工房もあります。
「木蓮商店」という名前は、母と一緒に一単語ずつ考えました。
実は本を作る編集者として働いていた時に「木蓮」という出版社を作りたかったのです。そして陶磁器の店を始めようと思った時、私は木蓮ほど韓国の陶磁器によく合う花はないと思いました。ほのかな光とひかえめな姿が似ていると思います。
そして母は「商店」という単語を考えました。日本では今でもよく使われているかもしれませんが、韓国では少し古めかしい印象を与える単語です。
「木蓮商店」
奥ゆかしい趣のある陶磁器…
伝統的な要素を持ちながらも今の私たちが使いやすい器を紹介するのにふさわしい名前だと思いました。
2014年の春、木蓮商店はこんな風に始まりました。
写真と文:木蓮商店 キムギュリ