韓国の伝統〜塀



観光客で賑わう町の通りの角をふと何気なく曲がってみると、思いがけず風情ある路地に出会うことがよくあります。
町の喧騒とはかけ離れ一瞬にして時がとまったような佇まいの風景…以来、石畳の路地を見つけると自然に入り込んでしまうようになりました。


昔の面影が残る小さな町の路地は見ごたえ十分。細い道をどんどん奥へ歩いていると花の手入れをする住民の人にばったり…キョロキョロあちらこちら眺める姿に怪訝そうな顔をされることもありました。見ていて本当に飽きないのです。石、レンガ、文字や模様…土俗的で独特な装いをまとったデザイン豊かな塀。日本ではこのような塀に遭遇することはなかなかありません。
素晴らしい塀に出会うと両手を広げ触りたいという衝動にもかられてしまいます。
そう、お目当ては「塀」なのです。歴史の香りが今だ残り修繕を繰り返し保存された伝統塀をご紹介します。



「塀」…本来の意味は家や敷地などにおいて、他との境界に設置する囲いのこと。
朝鮮半島でのはじまりは狩猟時代から農耕社会に移り人々が定着するようになったころのことと中国の古い文献に記されています。
畑を耕し作物を収穫する生活様式へと変わり収穫の備蓄場所が必要になります。獣やあらゆる外敵から人と備蓄物を守るために建築されました。


長い歴史と共に形状が変化し、地域や身分によっても材料や構造(高さ)も異なります。

レンギョウやカラタチの木を植えて塀に見立てたり、木の枝をたてかけ並べたり、竹や丸太・板といった簡素な初期の塀。そして積み上げただけの武骨な石の上に藁葺や瓦をのせる石塀へ。次第に組積造へと変化していきます。土壁に種類の異なる石や瓦を配し下部は玉石張りにしたミックスの構造。また石と石の間に瓦を挟んだりレンガ・石・丸い石を規則的に配列し日月星辰(太陽・月・星)を表すなど様々なアイデアで造られる塀はひとつとして同じものがありません。

 



きちんとキューブ型に加工された御影石の周囲に目地を入れ整然と配列された塀は上流階級によく見られます。雲峴宮や景福宮、有名な寺院の塀。おおらかで素朴で素晴しいのです。どこまで続くのかしら…と思う長さや高さは権威の象徴です。

 



ソウルの安国や北村ではひときわ華やかに装飾された伝統塀を見ることができます。


 

 

 



「花草塀」といわれ石やレンガ、瓦片でさまざまな文様が描かれています。
「壽」「福」「富」「多男」などの文字、鹿や鶴・鳳凰の動物、多産を意味するざくろや菊や蘭・松竹梅といった植物、亀甲・卍・菱形の幾何学模様、不老長生を願う十長生の文様…朝鮮時代の多くの両班たちが好んだ花草塀には当時の人々の豊かな発想がうかがえ見ていても楽しいのです。


 



韓国の伝統塀を日本でもご覧いただける2か所の公園と店舗をご紹介します。
横浜・鶴見にある三ッ池公園は桜の名所としても知られる神奈川県立公園です。
そこに1990年、神奈川県と韓国・京畿道との友好提携を記念して作られた「コリア公園」という名称の庭園があることを知りました。広さ5,000平方メートルの敷地に朝鮮時代の地方の両班のすまいと庭園が再現され石塀・土塀・土と石塀、そして花草塀も見られるとのことです。また静岡県熱海市の熱海梅園の一角にも韓国庭園が造られ見事な土塀が見られるようです。



   



そして京都・烏丸御池には韓国の香り漂う素晴らしいカフェがございます。カフェ「素夢子 古茶家」。こちらの店の周囲にも低い石塀が造られています。


暮らしが息づく町の塀にはなんともいえない趣を感じます。
特に朝鮮時代の両班たちがこぞって作り上げた伝統塀の雅やかな文様にはひとかたならない思いと情熱が込められています。日本の武家屋敷によく見られる土塀は飾り気がなく質朴さを感じ韓国の伝統塀と相対し興味深いです。境界や防衛という役割をこなすだけでなく吉祥の願いがこめられたり威厳をしめしたり…もしかしたら通る人も楽しませようと思ったのかもしれません。
当時の人々の造形意識の高さを感じると同時に、古の住まい手の人柄をあれこれ想像するのも楽しい作業です。 


 



どうぞ渡韓されました際には路地に迷いこんでみてください。
北村はもちろん西村、三清洞、苑西洞、桂洞…韓屋がまだまだ残りタイムスリップしたかのような街並みには素晴らしい伝統塀が残っています。
なるべくおしゃべりは控えられゆっくりじっくり…。
機会ございましたら。



 

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