十二角の薬小盤
李朝の道具〜ソバン46
ソバン(小膳)は食事を運び、かつ食べるという、なんとも合理的な道具。その用の美が見直され多くのファンを持つ暮らしの道具です。
ひと回り小さめの薬小盤(ヤッㇰソバン)と呼ばれるサイズをご紹介します。
李朝時代の薬を飲むための薬小盤のデザインを基に1970年代ごろ制作されたとうかがっています。足元は外側にクイと沿った虎足のデザインです。虎の威厳を示しているかのよう…。
少し古いものですので天板に傷や補修の塗装のたまり、天板と足の間にある幕板に亀裂も見受けられます。またスキー板のような足の板にも傷や塗装はげもあります。
※スキー板のデザインは古の時代、オンドルの熱を逃がさぬよう床に油紙を貼っていました。その紙を破かないための配慮からきたものです。
銀杏(イチョウ)の木は細やかな木目と軽さが特徴でつるっとした表情の天板は扱いやすいです。女性が片手でも持ち運びできる重さですし、はじめてのソバンにいかがでしょうか。
大木を切り、板にし、削りカタチを作りそして漆を塗る。
使い込まれた証の傷までもが愛おしく感じられます。
李朝の時代から生活必需品として重宝されたソバン。
厨房で作った料理をすぐに載せ、運び、そのままテーブルとして使われました。また本を読むときの机としても。
ソファの横で読みかけの雑誌やカップを置いたり、お客様が来られた時はワインをのせておもてなし、和室のしつらえのひとつとして一輪挿しを飾ったり…窓辺に月を愛でながら晩酌も。現代の暮らしにも溶けこみます。
「用の美」…使われてこそ美しい。現代まで息づく李朝の道具はいくつもの時代を見つめてきたからこそ、輝き続け、これからも私たちを魅了してやまないことでしょう。
□ 素材:銀杏(いちょう)
□ サイズ:およそΦ35×H20.5cm
□ 古いものですので薄い傷、小さな跡・へこみが少し見受けられます。がたつきはございません。また補修の跡も見受けられます。
無垢家具は生きています。
強い光に長時間さらされると、変色や塗装の原因になりますので、なるべく常時直射日光があたりにくい場所に設置してください。また極端な乾燥や湿気の多すぎる場所でのご使用も無垢木に変化を与えてしまいます。
日頃のお手入れは乾拭きか硬く絞った布で拭かれてください。