十二角と虎足
李朝の道具〜ソバン43
ソバン(小盤)は李朝の時代から生活必需品として重宝された小さな脚付き膳です。厨房で作った料理をすぐに載せ、運び、そのままテーブルとして使われるまさに暮らしに寄りそう道具といえるでしょう。
使われてこそ美しい…浅川巧や白洲夫妻も愛したソバン。
数年前より韓国のインテリア業界でもその『用の美』が再認識され、現代の暮らしにとりいれられるようになり、日本でもその素朴で優美な趣に魅了され高い関心を持たれる方が増えています。
古い時代の十二角の天板と虎足のソバンが入荷いたしました。
サイズは一人用の食事を十分のせられる大きさです。
松材で作られたと伺っています。松は朝鮮半島において広く生育する木材です。柔らかく加工しやすく、建築や家具などに多用されていました。こちらのソバンの最大の特徴は天板の縁の立ち上がりです。周囲の縁が十二角それぞれが斜めに立ち上がっています。
濃い漆が塗布され、穴や薄い傷が見受けられます。
天板には割れが見受けられます。
虎のデザインの脚はスマートなふくらみと控えめなつま先を持っています。
天板に少したわみがございます。
重厚な松の大木を切り、板にし、削りカタチを作りそして漆を塗る。
両の手でしっかりと持つ重量感があり長きにわたり使い込まれた証の傷までもが愛おしく感じられます。
李朝の時代から生活必需品として重宝されたソバン。
厨房で作った料理をすぐに載せ、運び、そのままテーブルとして使われました。また本を読むときの机としても。
比較的軽量の材木を選び一枚板から成形、個性的な脚も釘など使われずほぞ継ぎで接合されています。表面には天然の漆が施され天板の隅の縁が黒くなっているのは人が使い続けた跡…目利きたちは「馴染み」と呼び尊び、この「手ずれ」の跡が際立つものを好んで選んだと聞きます。
朝鮮半島でスキー板のような足のデザインはオンドルの熱を逃がさぬよう床に油紙を貼っていた為、その紙を破かないための配慮からきたものです。
ソファの横で読みかけの雑誌やカップを置いたり、お客様が来られた時はワインをのせておもてなし、和室のしつらえのひとつとして一輪挿しを飾ったり…窓辺に月を愛でながら晩酌も。現代の暮らしにも溶けこみます。「用の美」…使われてこそ美しい。現代まで息づく李朝の道具はいくつもの時代を見つめてきたからこそ、輝き続け、これからも私たちを魅了してやまないことでしょう。
□ 素材:松
□ サイズ:およそΦ40cm*H39cm
□ 古物ですので薄い傷、小さな跡が見受けられますががたつきはありません。足元に補修の跡(亀裂)が見られます。
無垢家具は生きています。
強い光に長時間さらされると、変色や塗装の原因になりますので、なるべく常時直射日光があたりにくい場所に設置してください。また極端な乾燥や湿気の多すぎる場所でのご使用も無垢木に変化を与えてしまいます。
日頃のお手入れは乾拭きか硬く絞った布で拭かれてください。