花びらのソバン
ソバン42
ソバン(小盤)は李朝の時代から生活必需品として重宝された小さな脚付き膳です。厨房で作った料理をすぐに載せ、運び、そのままテーブルとして使われるまさに暮らしに寄りそう道具といえるでしょう。
使われてこそ美しい…浅川巧や白洲夫妻も愛した『用の美』を代表するソバン。
数年前より韓国のインテリア業界でも再認識され、現代の暮らしにとりいれられるようになりました。また日本でもその素朴で優美な趣に魅了され高い関心を持たれる方が増えています。
花びらのソバンが入荷いたしました。銀杏(いちょう)の材が使われ外に反る虎足のデザインです。
李朝時代の薬を飲むための薬小盤のデザインを基に、1970年代ごろ制作されたものになります。
ツルっとした艶のある表情を持ち、愛らしい花びらと威厳のある虎足の対比が楽しいです。
天板にはほとんど木目が表れておりません。天板の隅の縁が黒くなっているのは人が使い続け漆塗装が剥げ「カシュ―材で何度も塗膜されたようです。
※「手ずれ」の跡…目利きたちは「馴染み」と呼び尊び「手ずれ」の跡が際立つものを好んで選んだと聞きます。
また脚部を中心に補修の為カシュ―塗料が施されている跡が見えます。

銀杏の木
本来は座して使う道具ですがソファの横で読みかけの雑誌やカップを置いたり、お客様が来られた時はワインをのせておもてなし…和室のしつらえのひとつとして一輪挿しを飾ったり…窓辺に月を愛でながら晩酌も。
日本の現代の暮らしにもすっと馴染みます。
「用の美」…使われてこそ美しい。現代まで息づく古道具はいくつもの事象を見つめてきたからこそ輝き続け、これからも私たちを魅了してやまないことでしょう。
□ 素材: 銀杏
□ サイズ:およそΦ35.5cm×H21.5cm
□ 古いものですので傷や天板の輪ジミ、色むら塗装はげや反り・がたつきなどが見受けられますことご了承ください。
無垢家具は生きています。
強い光に長時間さらされると、変色や塗装の原因になりますので、なるべく常時直射日光があたりにくい場所に設置してください。また極端な乾燥や湿気の多すぎる場所でのご使用も無垢木に変化を与えてしまいます。日頃のお手入れは乾拭きか硬く絞った布で拭かれてください。