愛らしく、奥ゆかしい花びらのソバン
李朝の道具〜ソバン5
ソバン(小盤)=李朝時代に発達した足付きの小さなお膳です。
食事を運び、かつ食べるという、なんとも合理的な道具ですがその用の美が見直され多くのファンを持つくらしの道具です。
花びら型の天板のなんと愛らしいこと…
脚元も内側に沿った狗脚がほどこされ、より奥ゆかしさを醸し出しています。
比較的新しい時代に作られたこちらのソバンには銀杏の木が使われています。
銀杏の木目は細やかで優しい雰囲気を持ち、軽量です。
また加工がしやすいことも大きく、この花びら型も美しく加工されています。
スキー板のような足のデザインは、オンドルの熱を逃がさぬよう床に油紙を貼っていた為、その紙を破かないための配慮からきたものです。
天板の縁が黒くなっているのは目利きたちが「馴染み」と呼び尊び、愛用した「手ずれ」の跡です。
傷や欠け、若干のガタつきなどございますが、使用に問題のあるものではございません。ご理解くださいませ。ツヤのある漆塗装がほどこされています。
大木を切り、板にし、削りカタチを作りそして漆を塗る。
使い込まれた証の傷までもが愛おしく感じられます。ずっとそばに置いてください。
ソファの横で読みかけの雑誌やカップを置いたり、お客様が来られた時はワインをのせておもてなし、和室のしつらえのひとつとして一輪挿しを飾ったり…現代の暮らしにも溶けこみます。
「用の美」…使われてこそ美しい。現代まで息づく李朝の道具はいくつもの時代を見つめてきたからこそ、輝き続け、これからも私たちを魅了してやまないことでしょう。
よみものもあわせてお読みください
□ 1970年代ごろ制作
□ 素材:銀杏(いちょう)
□ サイズ:Φ35×H24cm
無垢家具は生きています。
強い光に長時間さらされると、変色や塗装の原因になりますので、なるべく常時直射日光があたりにくい場所に設置してください。また極端な乾燥や湿気の多すぎる場所でのご使用も無垢木に変化を与えてしまいます。
日頃のお手入れは乾拭きか硬く絞った布で拭かれてください。